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自死(自殺)遺族支援のための認定NPO法人グリーフケア・サポートプラザ

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小さいけれど暖かくて大きないのち

5年前のGWの初め、明後日帰ると返事があったのにあの子は帰ってきませんでした。

その少し前、12歳を過ぎた愛犬そっくすに癌が見つかったことは知らせましたが、
検査やセカンドオピニオンの結果、短期間の延命にしかならない治療はしないと決めたことは、獣医の書いた図を見せながら話すつもりで伝えていませんでした。

あの日から、なぜ、を際限なく繰り返し、私がペットロスにならないよう自分が先に逝ってしまったのだろうか、とあり得ないことを考えたりしました。

毎日泣いて過ごしていても、そっくすは朝晩の散歩を待っています。
だんだん歩くのも辛そうになり、車で公園まで連れて行くと、お友達わんこに会えば嬉しそうに跳ね歩きます。
事情を知らない飼い主とは、何事もなかったかのように言葉を交わしました。

留守番させるのも心配で、あの子の家の片付けにも連れていきました。
狭い玄関先でホコリの舞う中、息も荒く伏せしたままずっと待っていました。

食いしん坊だったのに食べなくなり、一口でも食べてほしくて毎日ペットフードを探し回り、馬肉がいいと聞けば買いに走り、ペット用の酸素ルームをレンタルして・・・
悲嘆にくれるなかでも、ほんの少しでも食べたり酸素ルームで楽に過ごす様子を見れば、喜びを感じることができました。

食べなくなったら1週間と聞いていましたが、水以外口にしなくなって2週間近くたち、四十九日の法要の日になりました。
朝からもう立っていることすらできませんでしたが、身内だけとはいえお寺や精進落としの席に
連れて行くわけに行かず、玄関で横になっているそっくすに、「待っててね」と声をかけ出かけました。

やっと家に帰り着き、半ば諦めながらドアを開けると、朝と同じ姿で待っていてくれました。
その日の夜、納骨の悲しみと疲れで横になっている私のそばで、そっくすの最期が訪れました。

後日報告に行くと、我が家の事情の知らない獣医は、あれだけ状態が悪かったのに水だけでそこまで頑張っていた事に驚き、「本人の生きようとする気持ちが強かったのだと思います」とおっしゃいました。

悲しみと混乱の中なんとか過ごせたのは、頑張ってくれたそっくすのおかげです。
あの世があるのか信じ切れない私ですが、そっくすはあの子のところにまっすぐ向かい、今も一緒にいると思っています。
病状を知らないままだったあの子は、「あれ、そっくすもう来たの?」と驚きながらも癒やされているはず。

そう思えることがかすかな慰めでした。(by 茴香(フェンネル))

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