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自死(自殺)遺族支援のための認定NPO法人グリーフケア・サポートプラザ

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いつの日か

何を見ても聞いても全てあの子に結びついて、次から次へと思いと涙が溢れて仕方がなかったあの頃から数年経ち、目や耳に入ってもそこでストップする術を身に着けたように思います。
レジでお馴染みになったビニールカーテンを巡らせた感じでしょうか。

それでも不意を突かれて、負のループにはまることはまだまだあります。
先日はコロナ禍でのランドセル選びについてのニュースがきっかけでした。

東京から山の中の地方都市に主人が転勤になったのは、あの子が幼稚園年長の11月でした。
マンションから明治時代に建ったという二軒長屋の社宅に変わり、環境がガラッと違う中で荷物の片付けに翻弄されている時に、就学時検診の日がやってきました。
2歳下の弟が、東京での最後の日に怪我をして一時的にハイハイ生活になっており、新しい幼稚園にまだ二人とも登園しておらず、親子とも知り合いもなく、勝手のわからない小学校に出かけて行きました。

受付を済ませると、次は学用品の注文コーナーで、その市指定(推奨?)の布製ランドセルが並んでいました。
男の子は青、女の子は赤の、布とはいえ結構重い物で、デパートでカラフルな色の中から一緒に選ぶことを想定していた私は、その場で注文するのは気が進みませんでした。
「すぐ決めなくてもいいのよ。他のを見てからにしたら。」と言ったのですが、あの子は目をキラキラさせてつかまんばかりに「これがいい、これにする。」と言うのです。

それまでランドセルの話題などしたこともなく、周りの小学生が背負っている姿を見ていても自分の事として考えたこともなかったのが、突然目の前に現れたのですから当然の反応だったのかもしれません。
私の目にはとても良いとは思えない物で、内心がっかりしながら注文しました。

その後もそのランドセルを好きにはなれず、けなすようなことも言ったでしょう。
そんな時、あの子は困ったような顔をしていました。

他を知らないあの子には、あのランドセルが一番だったのです。
それなのに、私は自分の欲や価値観を押し付けようとしていました。
そんな事を数限りなくしていました。

社会人になると同時に一人暮らしを始め、私も距離を持って接し、大人同士の話ができるようになってきました。
それまで未熟な母親で、たくさん傷つけたことを謝る機会もあると信じていました。

それなのに当然あるはずだった未来が消えてなくなりました。

鉄壁の鎧をまとうことなど望むべくもありませんが、せめてアクリル板で囲まれたくらいの安全な日が来ることはあるのでしょうか。

命日が近づき、負のループに巻き込まれることの多い春です。
               
                                  (by 茴香)
NPO法人 グリーフケア・サポートプラザ
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