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自死(自殺)遺族支援のための認定NPO法人グリーフケア・サポートプラザ

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紫陽花いろのもの

紫陽花の花が咲く季節になりました。紫陽花を見ると、三好達治のこの詩を思い出します。

乳母車    
母よ―
淡くかなしきもののふるなり
紫陽花いろのもののふるなり
はてしなき波樹のかげを
そうそうと風のふくなり

時はたそがれ
母よ 私の乳母車を押せ
泣きぬれる夕陽にむかって
轔々と私の乳母車を押せ

赤い総ある天鳶絨の帽子を
つめたき額にかむらせよ
旅いそぐ鳥の列にも
季節は空を渡るなり

淡くかなしきもののふる
紫陽花いろのもののふる道
母よ 私は知ってゐる
この道は遠く遠くはてしない道

この世に生を受けたということは、いずれは死ぬべき運命をも共に授けられたということ。死に至る道、いや死後の道のりすら、いずれ親元を離れ、自分で歩まねばならない。乳母車を押すということは、自分では歩めぬ子の歩みを助けながら、負わねばならぬ運命の道への後押しをもすることになってしまう。けれども、その道をどう生きるかは、もう自分自身のこと。生と死が交錯する道にふるのは、淡くかなしきもの、紫陽花いろのもの。この詩には、読み手によって、いろいろな解釈があるのだろうけど、淡くかなしきもの、紫陽花いろのものが、母の慈悲の心のように思われて、読むたびに、なつかしいようなかなしみに、涙がこぼれそうになります。旅立った後にも、その紫陽花いろのものは、淡くかなしいものだけど、決して色あせることなく、やさしくふりつづける。この詩は前から知っていましたが、自死遺族の方々のお話をお聴きしてから、この詩から母の深い慈悲の心がかなしいほどに沁みわたりました。季節の変わり目です。皆様、どうかお体をいたわられてお過ごしくださいね。(byれもん)

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