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自死(自殺)遺族支援のための認定NPO法人グリーフケア・サポートプラザ

大切な人を自死(自殺)でなくし ひとり孤独でいる時 望みを絶たれ先が見えない時 いつでもどうぞ 自死遺族支援をしているNPO法人です

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もたらされたもの

こんにちは、れもんです。早くも一年の半分が過ぎました。

実家に帰って半年が過ぎました。ほぼ月1で活動のために上京する日々です。帰省はしていたものの、30年間実家からは離れていたのに、5日間も家を空けるとなると、心もとなさも出てきます。けれども、一旦、羽田で飛行機を降りると、何だか水を得た魚のように生き生きとした自分がいます。

夫と結婚していなければ、実家を離れることはなかったでしょう。その実家を離れさせた張本人が、自分を残して先に逝ってしまい、当初は、連れてこられた土地でぽつんと一人取り残されたような寂寥感がありました。

夫が亡くなった後に、歯が悪くなってしまい、通院先を変えた歯科医院の窓から、不意に、バスターミナルが眼下に見えました。初めて最寄りの駅に降り立ち、住むための社宅へ行くのに、まず夫が案内してくれたバスターミナル。そのときの情景がまじまじと浮かんできて、とても辛かった。でも懐かしい思いもあって、胸が押しつぶされながらも、ふわっとした感覚がありました。ほどなくして、ブラインドがおりましたが、その光景は今でも覚えています。

あのときは、失ったものの大きさに、ただただ悔いる日々でした。ああすれば、こんなことは起きなかっただろうにと、パターンを変えての繰り返し。そして、現実がその思い描く未来の虚しいことを思い知らせては、打ちのめされる。

でも、あれから私は失っただけなのだろうか。

グリーフケアとの出会い、そして、悲しみや痛みを通して出会った方々。その出会いの中で育まれた感謝する心、小さなことにも幸せを感じる心。自分も自然の一部であり
はかない存在だけれども、それでも刻々を生きているという有難さ。

もちろん、自分の見たくない負の部分も噴き出したことはありましたが、それに直面しなかったら、こうした有り難さもまた感じなかっただろうと思います。

これからは、失ったものよりも、夫が生死を通してもたらしてくれたものを一つずつ数えながら、1年1年を過ごしていこうと思っています。
NPO法人グリーフケア・サポートプラザ 公式ウェブサイト

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